「笑った時に銀歯が見えるのが気になる」「費用を抑えて歯を白くしたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。かつて虫歯治療の主流だった銀歯ですが、その見た目からコンプレックスを感じる方も少なくありません。しかし、最近では歯科技術の進歩により、保険を適用しながら銀歯を自然な白い歯に替えられるようになってきました。この記事では、保険適用で銀歯を白くするための具体的な方法、費用、そして知っておくべき注意点まで、詳しく解説していきます。
銀歯を白くしたいけど保険は適用される?
結論から言うと、銀歯を白くする治療に保険を適用することは可能です。これまでは、前歯など一部の歯を除いて、保険診療で白い歯を選ぶことは困難でした。しかし、技術の進歩や制度の見直しにより、現在では多くのケースで保険を使い、費用を抑えながら銀歯を白い素材に替えることができます。
現在はほとんどの歯が保険適用で白くできます
2024年6月時点の保険制度では、適用範囲が大きく広がり、条件付きではありますが、第二大臼歯(7番)、第三大臼歯(8番/親知らず)を含むすべての歯を保険適用で白くすることが可能になりました。これにより、多くの方が経済的な負担を軽減しつつ、審美的な悩みを解決できるようになっています。ただし、どの歯にどの素材が使えるかには条件があるため、まずは歯科医師に相談することが重要です。
保険適用で銀歯を白くする3つの方法
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保険を使って銀歯を白くする場合、主に3つの方法があります。どの方法が適しているかは、銀歯の場所や大きさ、噛み合わせの状態によって異なります。
| 治療法 | 特徴 | 主な適用部位 |
|---|---|---|
| コンポジットレジン | 白いプラスチックを直接歯に詰める。治療が1日で完了する。 | 小さな虫歯、前歯から奥歯まで |
| CAD/CAM冠・インレー | ハイブリッドセラミックのブロックを削り出して作る。 | 小臼歯、条件付きで大臼歯 |
| 硬質レジン前装冠 | 金属のフレームにプラスチックを貼り付けた被せ物。 | 前歯 |
方法1:コンポジットレジン
コンポジットレジンは、セラミックの粒子と合成樹脂を混ぜ合わせた白いプラスチック素材です。ペースト状の材料を歯に直接詰め、特殊な光を当てて固めるため、歯を削る量を最小限に抑えられ、型取りも不要です。そのため、治療が1日で完了する手軽さが大きなメリットです。
方法2:CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー
CAD/CAM(キャドキャム)とは、コンピュータで設計し、そのデータをもとに機械が歯の詰め物や被せ物を製作する技術です。セラミックとプラスチックを混ぜた「ハイブリッドセラミック」という素材のブロックを削り出して作られます。保険適用の範囲が広く、前歯から奥歯(条件あり)まで対応できます。金属を使用しないため、アレルギーの心配もありません。
方法3:硬質レジン前装冠
硬質レジン前装冠は、金属で作られたフレームの表面に、白いプラスチック(レジン)を貼り付けた被せ物です。内側が金属なので強度が高く、主に前歯の治療に保険適用されます。見た目は自然ですが、裏側からは金属が見えることがあります。また、長期間の使用で表面のプラスチックが変色する可能性もあります。
保険適用で銀歯を白くする場合の費用
保険診療の場合、自己負担は治療費の3割(年齢や所得による)となるため、費用を大幅に抑えることができます。以下は、それぞれの治療法におけるおおよその費用目安です。
コンポジットレジンの費用目安
コンポジットレジンで小さな銀歯を詰め替える場合の費用は、1本あたり約1,500円から3,000円程度です。治療が1回で終わるため、通院回数も少なく済みます。
CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーの費用目安
CAD/CAM冠(被せ物)やCAD/CAMインレー(詰め物)の費用は、1本あたり約5,000円から10,000円程度です。これは歯の型取りや製作の費用が含まれた金額です。
硬質レジン前装冠の費用目安
前歯に適用される硬質レジン前装冠の費用は、1本あたり約5,000円から8,000円程度です。奥歯に使用する場合は自費診療となります。
保険適用で銀歯を白くするメリット
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保険適用で銀歯を白くすることには、費用面以外にもいくつかのメリットがあります。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 費用が安い | 自費診療に比べて、自己負担額を大幅に抑えることができる。 |
| 金属アレルギーのリスクがない | コンポジットレジンやCAD/CAM冠は金属を一切使用しない。 |
| 治療期間が短い | コンポジットレジンは1日で治療が完了することが多い。 |
費用を安く抑えられる
最大のメリットは、やはり経済的な負担が少ないことです。自費診療のセラミック治療が1本数万円から十数万円かかるのに比べ、保険診療なら1万円以下で治療できるケースがほとんどです。
金属アレルギーのリスクがない
コンポジットレジンやCAD/CAM冠は「メタルフリー」の素材なので、銀歯によって引き起こされる可能性のあった金属アレルギーの心配がありません。また、金属イオンが溶け出して歯茎が黒ずむ「メタルタトゥー」のリスクも回避できます。
短期間で治療が完了する
特にコンポジットレジンは、歯を削ってから詰めて固めるまでを1回の通院で行えるため、忙しい方にとってもメリットが大きいです。CAD/CAM冠なども、型取りから装着まで通常2回程度の通院で完了します。
保険適用で銀歯を白くするデメリット
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費用を抑えられる保険診療ですが、一方でデメリットも存在します。素材の特性を理解した上で、治療法を選択することが大切です。
素材が経年劣化しやすい
保険適用で使われるプラスチック系の素材は、水分を吸収しやすいため、長年の使用で変色したり、黄ばんできたりすることがあります。特にコーヒーやカレーなど色の濃い飲食物を好む方は、着色が目立ちやすくなる可能性があります。
銀歯に比べて強度が低い
コンポジットレジンやハイブリッドセラミックは、金属である銀歯や自費診療のセラミックに比べると強度が劣ります。そのため、強い力がかかる奥歯などでは、欠けたり割れたりするリスクが銀歯よりも高くなります。
適用される歯の部位に条件がある
全ての歯に同じ治療が適用されるわけではありません。例えば、硬質レジン前装冠が保険適用されるのは基本的に前歯(左右の犬歯間の6本)のみです。また、2024年6月の診療報酬改定により、CAD/CAM冠の大臼歯への保険適用条件が緩和され、条件付きではありますが第二大臼歯(7番)や第三大臼歯(8番/親知らず)にも適用可能になりました。
保険適用外(自費診療)で銀歯を白くする方法
見た目の美しさや耐久性をより重視する場合には、保険適用外の自費診療という選択肢もあります。費用は高額になりますが、その分メリットも大きいです。
| 治療法 | 特徴 | 費用目安(1本) |
|---|---|---|
| オールセラミック | 全てセラミックでできており、天然歯のような透明感と美しさがある。 | 8万円~18万円 |
| ジルコニア | 人工ダイヤモンドとも呼ばれる非常に硬い素材。奥歯に適している。 | 10万円~18万円 |
オールセラミック
オールセラミックは、その名の通りすべてがセラミック素材でできており、天然の歯に最も近い透明感と色調を再現できます。変色することがほとんどなく、汚れも付きにくいため、長期的に美しい状態を保てます。特に人目に付きやすい前歯の治療に適しています。
ジルコニア
ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど強度と耐久性に優れた素材です。そのため、強い力がかかる奥歯の治療に最適です。オールセラミック同様、変色しにくく、金属アレルギーの心配もありません。
銀歯を白くするときの注意点
銀歯を白い歯に替える際には、いくつか注意すべき点があります。治療を始めてから後悔しないよう、事前に確認しておきましょう。
治療する歯の状態によっては適用できない
保険適用の白い歯は、銀歯に比べて強度を保つためにある程度の厚みが必要です。そのため、銀歯を外した後の歯の状態によっては、歯を多く削る必要があったり、そもそも適用が難しかったりする場合があります。
歯科医院によって対応が異なる
CAD/CAM冠などの治療を行うには、専用の設備が必要です。そのため、すべての歯科医院で保険適用の白い歯の治療が受けられるわけではありません。治療を希望する場合は、事前にかかりつけの歯科医院が対応しているかを確認することをおすすめします。
まとめ
現在では、保険適用で銀歯を白くするための選択肢が大きく広がっています。費用を抑えながら見た目のコンプレックスを解消できる「コンポジットレジン」や「CAD/CAM冠」は、多くの方にとって魅力的な治療法です。ただし、保険適用の素材には経年劣化しやすい、強度が低いといったデメリットも存在します。ご自身の希望や予算、そして歯の状態に合わせて、歯科医師とよく相談し、最適な治療法を選択してください。